Lens Impression
エプタミタールEptamitar 5cm f2はイタリアの光学メーカーOfficine Galileoの大口径標準レンズで、 同じイタリアのOfficine
Meccaniche di Precisioneが製造したカメラGammaガンマに装着されたレンズです。ガンマはシャッター膜が弧を描いた金属板でできている非常に珍しい構造のカメラで、初期型は専用バヨネットマウントでしたが、一般にII型と言われる後期型からはライカ・スクリューマウントとなり、各社からライカマウントのレンズが供給されました。
こうしたガンマ用のレンズの多くが、現在「ノンライツ・ライカマウント・レンズ」と言われるレンズ群の一角を成しており、このエプタミタールもその中の希少な1本といえるでしょう。
レンズ構成はライツ社のズミタールと全く同じ構成の4群7枚で、第一群が貼り合わせダブレットというところにその特徴を引き継いでいます。 エプタはおそらくギリシャ語のεπτ?/エプタ/eptaという数字の7に由来するもので、7枚レンズの7とズミタールの名称の後半を組み合わせた造語だと思われます。
ライツ社のズミタールとエプタミタールに光を当てて、反射面を観察したところ、曲率から内部のレンズ面反射の位置・サイズまですべて全く同一という結果が得られました。すなわちエプタミタールのレンズ構成はズミタールと寸分違わず同一と言えると思います。ただしコーティングの反射色は異なっており、反射色の薄いエプタミタールのほうが古典的な味わいを得られるかもしれません。
作例から見るエプタミタールの描写はとてもすっきりしています。一方、ズミタール同様ボケ味に特徴があり、個人的には堅苦しい印象を与えるこれらのレンズの描写はそれほど好みではありませんが、歴史的、オールドレンズとしての価値としてはそんな好き嫌いを離れたところに十分このレンズの重要性があると言ってよいでしょう。
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